カテゴリー: 政策の棚

自伐型林業の可能性

 

御代田町の林業藝術社さんの現地サイトを会派で視察させて頂きました。
職人技でもあり、芸術でもあるその森の整備の在り方に感動してしまいました。

日本では森林資源の管理は森林組合や大規模林業事業体が担うことが多いです。
また国の政策としてもその方向性を作ってきました。

その結果、現在多くの課題が出てきています。

①山と人の関係が遠くなった
・山の整備を外部に委託することが増え、地域の人が山に足を踏み入れない環境ができる
・佐久地域も70代以上の方は、山に足を運ぶ機会がありましたが、それ以降、どんどんと少なくなりました
・山林が「ただ預けるだけの資産」に

②効率性を重視し、災害リスクが高まった
・採算性の観点から一度に大きな面積を伐採する皆伐施業をとることが多い
・皆伐による地表の裸地化で土壌流出、保水力低下、生態系の単純化等が進み、豪雨災害リスクが増大
・大型機械導入や作業道の新設を前提とする施業となり、特に中山間地や小面積林地では採算が合わず、事業化できない「放置林」が増加
・皆伐は再造林を前提として考えられていたが、資金不足や担い手不足等で適期施業に至らない

もちろん森林組合や大規模林業事業体も新たな連携や手法の開発を進めているところではありますが、今日はその中で今後広がりが期待される自伐型林業の現場をご紹介。

自伐型林業では、幅2.5mの林道を作っていくことが基本です。なぜ2.5mかというと、軽トラで通れる幅でありながら、災害リスクを減らせるからです。この幅を広げると壁面の高さを高くする必要がでてきてしまい、土砂崩れのリスクが高まってしまいます。(よく山道を自動車で通る際に壁をコンクリートで固めている景色がありますが、あの状態になります。)

そして林道は適切にカーブを作ります。皆伐を目指した場合、幅は広く、目的地まで直線で作った方が効率的ですが、雨量が増えた場合に水がストレートに流れてしまい、災害のリスクが高まります。

また、林道に草が生えづらく、草刈りの手間を発生させない仕組みも可能です。
林道を作る際に土を掘り返しますが、奥深い栄養の少ない土を林道に使用し、栄養の多い土を植生を豊かにしたい脇に使用することで、林道には草がなく、周辺には植物が育つという環境づくりが可能になるそうです。 

水の流れを読み、沢からの水が林道を取った後、林道外に流れるように、土に若干の傾斜をつけて、沢から流れてくる水を誘導します。(沢は水により通り道ができているため、水がない時は人にとっても歩きやすそうに見えます。そこに林道を作ってしまいがちですがそうすると災害時に一気に水が流れ込んできてしまいます。)

また、林道では、水を細かく切る=脇に流す仕組みも重要です。ここではそこに生えていたカラマツを丸太に活用していています。資材費ゼロでできてしまう。

これまでの林業では1日150mの林道づくりが可能ですが、自伐型林業では、(同社の手法の場合)1日に頑張っても20mしか作れません。それでも、水の流れを読み、植生を活かした森づくりを行うことによって、何十年と災害を起こさせない森づくりを行っていくことが可能だそうです。

林業藝術社では地域の人も巻き込んだ森づくりも進めています。
その森とずっと付き合っていくという想いを込めた森づくり。
次の世代まで繋がっていく森づくり。
そんな可能性を自伐型林業は持っています。

(もちろん自伐型林業といえどその質がまちまちなこと、自走が難しいことなど、自伐型林業としての課題もあります。)

政府も「多様な林業の担い手の育成」を骨太の方針に入れました。
とはいえ、長野県内でもごくわずかしか自伐型林業を行う人材はいません。
森と地域を繋ぎたい人や、自分らしく森に関わりたい人が、その一歩を踏み出せる後押しを、全国3位の森林率を持つ長野県だからこそ、進めて行く必要があると考えています

若者がもっと自己表現できる街を目指して

信州アーツ議連に入りました!

議員連盟とは地方議会に所属する議員同士が、共通の政策課題やテーマについて情報交換・調査研究・政策提言を行うために結成するグループです。

信州アーツ議連は下記を目的としてとしています。
① 地域の文化芸術振興
② 長野県による「アートを活用した学び」事業の推進
③ 文化芸術を活用したインクルーシブな社会の実現
④ ヘルスケアアート
⑤ デザインの力を通じた安全で快適な良いまちづくり

私は佐久市は若者がもっと自己表現できる/しやすい街になっていく必要があると考えています。
その手段の一つが文化芸術の振興にあります。

不確実性が高く、これが正解と言える人生や生き方はもうありません。
自分の想いを自分らしく伝える、伝えて良いと思える環境づくりを、学校教育でも、まちづくりでもしていく必要があると感じています。

まだまだ詳しくない分野なので、是非皆様のご知見をお借りさせてください🎨

議連メンバーは皆さんは芸術のバックグラウンドのある素敵な方々で、子連れ参加も温かく迎えて下さいました✨

#信州アーツ議連
#佐久市議会
#サクノミライ

 

 

地方議員の公約には意味がないのか?

都議選の中で、「地方議員の公約には意味がない」「どうせ実現できない」という声があります。果たして本当にそうでしょうか.。

確かに、地方議員は市長のような執行権を持っていません。
一方で、地方議員には「一般質問」という強力な手段があります。これは、行政の政策や事業の進捗、課題や今後の方針を市民に代わって問いただすことで、市政の方向性に実質的な影響を与える力を持っています。

例えば会津若松市では、一般質問について下記のように説明されています。
「一般質問とは、議員が、市の一般事務に対してその執行の状況又は将来の方針、政策的提言や行政の課題などを市長などの執行機関に直接質すことです。」

私の場合、今回の6月議会では「佐久市役所の組織づくり」を取り上げました。これが、すべての事業の根幹になってくるものだと考えているからです。

佐久市では近年、毎年20名を超える退職者や年によっては10名を超える休職者がいます。若手の退職には、キャリア形成の実感不足、という要因がありますが、その中にあっても、佐久市役所ではキャリア面談やキャリアシートの作成・運用等のキャリア支援が行われていませんでした。そこで、キャリア支援が必要ではないかということを問い、実際にキャリア面談の実施を通じたキャリア支援の検討が始まることとなりました。

また、管理職の評価基準に定める能力やスキルがある中で、それらを磨いていくための研修体系もない状態でした。そこで、研修体系の整備の必要性について問い、研修体系の検討が始まることとなりました。

これらは、議員になって2カ月弱で起きた市政の変化です。

公約は地方議員として、自分がどういった方向性で質問権を行使していくのかを示すものだと考えます。公約に基づいて行政に働きかけることは、市民との約束を果たす第一歩です。地方議員の投票においても、公約が見られるようになってほしいと個人的には思います。

6月議会のご報告

6月の代表質問に対する主な答弁をまとめました。

<佐久市役所の組織づくりについて>
組織づくりについては、これまで評価上管理職に求める能力やスキルに対して、研修体系がなかったこと、またキャリア面談の機会もなかったことについて、研修体系の検討やキャリア面談の検討を進めていくこととなりました。

また組織の現状や職員の生の声の把握にも課題認識があるとのことで、把握を進めつつ、他自治体のエンゲージメントの調査状況等も調べていくとのことです。まだまだ入口に立ったばかりですので、引き続き市職員の皆さんの働きやすい職場づくり・働き甲斐のある職場づくりを後押ししていきます。

<佐久市における性差によるアンコンシャスバイアスについて>
佐久市では男女平等であると感じている市民の割合が低いです。また男女間での認識の隔たりもあります。その根底にはアンコンシャスバイアスがあるのではないか、それがどういう場面や言動にあるのか詳細の把握が必要かではないか、という話をしました。

市としてはこれまでのアンケートよりも「より詳細な現状把握を行っていく」とのことです。アンコンシャスバイアスは無意識であるために当事者でない方は気付きません。どの場面、どの言動なのかという可視化と認識の共有が必要と考えます。

また、地域で進めるにはまずは市からということで、市職員へのアンコンシャスバイアスに関する研修も進めていくこともなりました。

アンコンシャスバイアスの実態調査には、皆様にアンケートでもご協力頂きました。有難うございました。引き続き、アンコンシャスバイアスの可視化と共有にむけた働きかけを行っていきます。

若者が自己表現できるまちへ

まだまだ佐久の若者の声を聞けていないのですが、東京に比べるとはるかに自己表現がしづらい街なのではないかと感じています。

若者がありのままでいられる環境をどうつくっていけるか。一つの切り口として文化芸術の振興があります。例えば文化芸術が活発な街とそうでない街で、下記のような違いが生まれます(chatGPTより)。

1. 創造性と表現力の違い

  • 活発な街:アートや音楽、舞台などに触れる機会が多く、自分を表現する手段を持つ若者が育ちやすい。独自の視点を持ち、アイデアを形にする力が養われる。
  • そうでない街:ルーティン的・受動的な学びや娯楽が中心になりやすく、創造力を伸ばす機会が限られる。

2. 自己肯定感や多様性の受容

  • 活発な街:多様な価値観に触れやすく、「自分のままでいい」「違っていてもいい」という空気があるため、自己肯定感が育ちやすい。
  • そうでない街:均質的な価値観や画一的な生き方が優先され、「みんなと同じでなければならない」圧力が強まる傾向。

3. 進路・キャリア選択の幅

  • 活発な街:アーティストやクリエイターとの接点があり、芸術や創造的職業を「現実的な選択肢」として考えられる。
  • そうでない街:公務員や大企業就職など「安定第一」の選択肢が主流になりやすく、可能性の幅が狭まる。

4. 地域への愛着・帰属意識

  • 活発な街:文化イベントや地域アートなどを通じて「この街にしかない魅力」に触れることで、愛着や誇りが育つ。
  • そうでない街:地域に魅力を感じにくく、「出て行くこと」が前提になることも多い。

5. コミュニティ形成の違い

  • 活発な街:世代やジャンルを超えたつながりが生まれやすく、若者が地域の中で「役割」を持ちやすい。
  • そうでない街:学校や家庭以外でのつながりが乏しく、孤立感を抱きやすい。

もちろん自律性を育む教育現場をつくっていく等ということも必要ですが、文化芸術の観点も掘り下げていきたいです。

地域でこどもを育む「まち」へ

今回の選挙戦で訴えている基本政策の一つが、「地域でこどもを育む「まち」へ」。
※「街」も、「町」も地域の多様性がある佐久市を表す漢字としてしっくりこず、今回は「まち」という表現にしました。

両親共働きでこどをも育てるということが、佐久市でも珍しくはありません。子育てが負担にならないように、実家が近くになくても地域の誰かを頼ることができる、そんな環境を整えていきたいです。

しかし、これは子育て世代のためだけの施策ではありません。

地域でこどもを育むまちは、孤独を抱えないまち。

一般的に、ご高齢の方の3人に1人は社会とのつながりがないと言われています。
成人の8人に1人が潜在的うつ状態の可能性があるというデータもあります。
長野県内の若者の自殺率は全国でも最上位にあります。

佐久市も、何かをきっかけに、孤独を抱えやすい地域なのだと思います。
それは定年退職かもしれない。介護や育児などの家庭の事情かもしれない。会社や学校などの所属する場所での人間関係かもしれない。そんなときに、第三の居場所をもっているかどうかで、その先の進路が変わってきます。

例えば村落支援制度の活用をすすめ、「地域のおせっかい役」を仕組化する。
例えば区のあり方をタップデートし、子育て世代が参加しやすくする。
例えば佐久市に登録している防災士が、防災を切り口に地域の皆さんを繋ぐ。

今ある制度を少し工夫するだけで、できることはたくさんあると考えています。

佐久市・穂の香乃湯の閉鎖と指定管理の在り方

昨日の信毎では下記の記事がありました。

信濃毎日新聞:佐久市の財政、安定しているが 赤字の温泉施設閉鎖、避けられない公共施設統廃合
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2025040100909

人口が減少していく中、ある程度の施設の統廃合はやむを得ないですが、温泉は一度閉じると場合によっては再ボーリングが必要となる場合もあり、再開は簡単ではありません。
穂の香の湯に関しては、令和5年度の 財政援助団体等監査報告書で監査委員から下記指摘がありました。

※両施設は布施温泉およびあさしな温泉穂の香乃湯
※指定管理者は「一般社団法人 佐久市振興公社(理事長 栁田 清二)」

指摘されているモニタリングレポートによると、穂の香乃湯は「A(良好)」の状態。

モニタリングによると良好な状態が3年続いた後に閉業。(なお、モニタリング対象の48施設中47がAランクでした)

※左からS,A,B,C,非該当の施設数
※モニタリングレポートはこちら

穂の香の湯の事業計画がオンライン上では見当たらなかったので、どのような有効活用策が考えられていたのかは分かりませんが、モニタリングは何を目的とするのか、運用が形骸化していないか、どうすれば指定管理制度のもと、経営状態を改善していくことができるのかなどは、今後の議論が必要だと考えています。(目的に合わず、形骸化しているのならむしろ職員の方がの負担が増えているだけになってしまいます。)

※トップ画像は佐久市HPより

うつ状態になる一歩手前でオンライン相談できる環境を

経営者の方々と意見交換をしていると、職場のメンタルヘルスの課題があがってきます。また家庭は家庭で、介護や育児と悩みを抱えている方も多い。

カウンセリングを受けること自体のハードルがあり、また広い地域ではないので、知り合いに見られたら…という思いも強いと聞きました。

そこで活用を考えたいのが「マイシェルパ」などのオンライン診療。簡単に予約でき、自宅で一人で受けることができる。ほかの自治体でも導入が始まっています。全町民を対象にすることもあれば、妊産婦さんのうつ予防にフォーカスを充てている場合もあります。

◎埼玉県横瀬町にメンタルヘルスケア「マイシェルパ」を提供、オンラインカウンセリングの開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000073210.html
※トップ画像はこちらを利用

◎上尾市が妊産婦に向けて「マイシェルパ」のオンラインカウンセリングを導入、周産期のうつ症状が改善
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000073210.html

佐久市でも佐久産業支援センター(SOIC)などで導入企業の事例共有や妊産婦の方むけのトライアル補助等から始めるといいのではないかと考えています。

佐久市・企業連携協定の一歩先へ

自治体と企業/団体の連携協定でありがちなのが、協定を発表して終わり、というパターン。

佐久市とタイミー社の連携協定の発表がありました。1ユーザーとして、佐久地域でタイミーが広がらないかと思っていたので連携自体はとても喜ばしいです。

◎タイミー、長野県佐久市と事業連携協定を締結

https://corp.timee.co.jp/news/detail-4130/

一方で、連携後、地域の事業者に活用頂くには、一社一社をまわり、メリットや活用方法を説明し、そして導入までをサポートしないと活用は広がりません。

実は私自身、一年前に担当していたプロジェクトでタイミー社と連携させて頂いていました。特に農業におけるタイミーの活用促進を目指しました。

◎タイミー、「人吉球磨・農業未来プロジェクト」への支援開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000229.000036375.html

マニュアル化できる作業を外だしすることにより、より付加価値を高める取り組みに時間を割くことを目指し、農家の皆さんには活用のポイントなどをお伝えしていました。そして活用により経営の効率化が図れた好事例を地域内で共有していく。農家の皆さんのご関心はとても高かったです。

佐久市でも、連携協定のその先は進めるため、導入にむけたサポートや事例の共有を促進していきたいです。

佐久市役所の組織改善

佐久市の出前講座を活用し、市政の勉強会を開催してきました。その最終回として、柳田市長にこれからの佐久市についてお話しを伺いました。

私からは佐久市役所の組織づくりに関する問題意識と今後の取り組みについて質問。
質問の背景として、若手職員から、提案が通らない、上長の理解が得られない等の声をお伺いすることがありました。

市長としても、時代遅れのルールは変えていくことを目指し、それができる組織づくりをしていくとのこと。
具体的には提案を個人任せにはせず、組織(所属課)として取り扱うことや個人のキャリア形成支援などの話がありました。
また、職員が疲弊しないよう、DX化と人員体制の見直しの話もありました。

職員が疲弊していると、手段が目的化しやすく、ルールに則って進めることに精一杯になりやすくなります。
職員の方々が、生き生きと働ける場になっていってほしい。
市役所の組織改善、皆さんも是非ご注目ください!