どんな仕事をしていたの?と聞かれると、被災地での街づくりの仕事です、と答えるのですが、説明するのがとても難しいです。
今日は過去に担当した事業の一つを、過去の自分のブログ(note)記事から転載します。
ーーーーー
地域の団体さんとプロジェクトを進めている千葉県鋸南町での話。
みなさんは東日本に大きな被害をもたらした、2019年の台風15・19号を覚えているだろうか。
千葉県鋸南町は、人口8,000人弱の町ですが、住家の68.4%、計2510戸が被災しました。(全壊16戸、半壊334戸、一部損壊2144戸、令和元年11月13日時点)
半壊以上の場合に適用される応急修理の申請件数に対し、鋸南町では99%が完了となり、一見、町は発災前に戻ったかのように見えます。
一方で、最も被害の大きかった岩井袋地区では、世帯数が2割減少。この中には全壊により引っ越した方もおられますが、半壊・一部損壊であっても、修繕の順番を待っている間にも雨風にさらされ、家屋全体が傷んでしまい、解体を決めた方もいらっしゃいます。
参考)当時のニュース
私も現地を訪れましたが、地域のおばあちゃんが、ここもここも空き家になっちゃったんだよね、と話しておられたのをよく覚えている。
歯抜けになった小さな地区では、孤独を抱えていたり、雨風の夜には強い不安を抱きながら過ごす方たちがいます。この2月には、修繕の完成をみることなく、亡くなった方がいたそうです。
参考)鋸南アクセラレーション コラム
“遺族は、「あいつは、壊れた屋根や天井を見るたびに怖がったり、不安になったり、泣き声みたいな声だしてたよ」と話していました。
不安にかられて、食事は減り、睡眠不足や通院もちゃんとできていなかったらしいのです。不安や怖さは人それぞれで、他人が推し量れるものではありません。”
また、修繕を待っている間(発災から1年たっても100件待ちの状態もありました)、家屋のブルーシートの手入れは自分で行う必要があります。
といっても高齢な世帯など、自分たちでできないご家庭もお送ります。また、修繕にあたっての自己負担ができず、修繕しないまま、住まれているお宅もいまだにある。
そういった状況の中、家屋の修繕や人と人とのつながりづくりを行ってきたのが、私たちもご一緒に仕事させて頂いている、「鋸南復興アクセラレーション」さんです。(前掲のコラムもアクセラさんの記事です)
発災後、有志の人があつまってできた任意団体。右も左もわからぬまま集まった人々が災害ボランティアセンターから復興ボランティアセンターを運営し、センターが終了後も独立して支援を続けています。
現在でも、月に20件ほどの屋根の修理と、20件弱のカビの除去を地域の団体と連携して行っています。
参考)押し入れのカビ除去作業 | 鋸南アクセラレーション
https://www.youtube.com/watch?v=7EIZLP715Ss
(雨漏りが続くご家庭のカビの除去の方法を公開しています)
昨年度は、復興ボランティアセンターとして、屋根の修繕で累計249件、室内のカビ除去で140件を対応。
RCFでは休眠預金等活用事業を使って、資金的支援やをしています。これらは一見、行政が支援すべき分野に見えます。
確かに今回、行政も一部損壊を含め修繕費の負担をしています。一方で、前述のとおり、修繕の順番を待っている間や行政の補助額を超えて修繕が必要な場合の自己負担分が負担できない方は、行政の支援からこぼれ落ちてしまうのです。
災害による被害は一過性のものに思われがち。本来はその後数年にわたり支援が必要な一方、支援の手が入りづらいのが実情です。
また今年も雨の季節がやってきます。
何も起きないことを祈りつつ、起きた場合に迅速に動けるよう準備を進めていきます。
2021年6月3日
ーーーーー