令和6年12月議会では、多くの議員の方が不登校について取り上げてくださっていました。議会録から佐久市における不登校の状況を共有したいと思います。佐久市学校教育部長の回答を抜粋します。
佐久市における不登校児童の状況
令和5年度の文部科学省による児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますと、市内公立小中学校における病気等を理由とする以外で、年間30日以上欠席した不登校児童生徒の直近の3年間の人数は、令和3年度が小学生が91名、中学生が153名、合計で244名です。令和4年度が小学生107名、中学生181名、合計で288名です。令和5年度が、小学生147名、中学生199名、合計をいたしますと346名となっております。全国的な傾向と同様に、当市におきましても、近年増加傾向が顕著となっております。
市が把握する不登校の背景
文部科学省による児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査は、令和5年度の調査から調査方法が変更になっておりまして、それまでの調査では、学校側が判断した不登校の要因を回答する方式であったものが、不登校の背景として把握した事実を尋ねる方式となっておりますので、その調査項目に基づきまして、主なものをお答えさせていただきます。
小学校
「児童から不安、抑うつの相談があった」で全体の22%
「生活リズムの不調に関する相談があった」で全体の16%
「いじめ被害を除く友人関係をめぐる問題の情報や相談があった」が全体の14%
「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」で全体の8%
中学校
「生徒から不安、抑うつの相談があった」で全体の23%
「生活リズムの不調に関する相談があった」で全体の21%
「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」で全体の14%
「学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた」で全体の14%
佐久市としての相談対応の取組み
市教育委員会では、小中学生の児童生徒1人に1台、整備をいたしましたタブレット端末を活用した子どもSOSそうだんフォーム「タッチ(TOUCH)」の運用を令和5年6月から開始しております。
この相談フォームは、タブレット端末を通して子ども自身が今抱えている悩みや、相談したい相手を選択、入力し、それを受けた市教育委員会が相談したい相手につなぐ仕組みとなっております。令和5年6月の運用開始から本年10月末までに、既に149件の相談が寄せられておりまして、全ての相談におきまして、相談者が希望した相談相手につなぐことができております。
この取組の目的でございますが、悩みを抱えた児童生徒を早期に発見し、対面の支援につなげるとともに、子どもたちにとっては思いを受け止めてもらうことで、周りの人とつながるよさに気づき、また自らSOSを発信していく力を育むことにありまして、当然のことながら不登校対策としても有効な手段であると考えているところであります。
佐久市におけるチャレンジ教室(中間教室)
(チャレンジ教室の移転について)令和7年度中を予定しておりましたが、サングリモ中込改修工事のスケジュールの見直しがございましたことから、若干後ろ倒しになる見込みでございます。令和8年度のできるだけ早い時期にできればと考えております。
また、この移転に際しては、不登校児童生徒の増加状況や中込地区に移転することにより、通室しづらくなる利用者、特に、浅科、望月、高瀬、中佐都といった市の北部にお住まいの児童生徒のことも考慮いたしまして、将来解体が予定されている現在の旧浅科会館の近くの公共施設へサテライト教室を設置する方向で、現在検討を進めているところであります。
チャレンジ教室の増設は、増加する不登校児童生徒へのきめ細かな対応につながるばかりではなく、多教室化により、距離的に通室しやすくなるといったメリットや自分に合った教室を児童生徒が選択することも可能となるなど、不登校対策として非常に効果的であると考えているところであります。
加賀市での取組み
加賀市では様々な取り組みにより、新規の不登校者数の増加が止まったそうです。
加賀市の不登校支援プランの概要はこちら。

加賀市教育長の島谷千春さんにお話をお伺いし、不登校になったこどもの支援ももちろん大切ですが、学校そのものの居心地の悪さを変えていくことの必要性を強く感じました。
学校内では中間的に過ごせる「スクールサポートルーム」を作り、この授業は受けたくない、今は教室にいる気分ではないと言ったときにも過ごせる場所を作っています。また通常授業においても自分で進めるワークの時は、教室に限らず、廊下や空き教室等でもワークができるようになっています。

また、学校外においても、中間教室とは別に、こどもたちが過ごせる居場所「児童センター」を整備しています。過ごし方次第では出席日数としてもカウントされるそうです。
佐久市でも学びのスタイルやこどもたちが過ごせる居場所の整備を進めて行きたいです。