先日、「パートナーシップ佐久」主催のイベントにて株式会社Will Labの小安美和さんの講演を伺いました。政府広報で石破元総理とも対談されている小安さんのお話は、鋭いデータと強い問題意識に溢れ、私たちが今すぐに取り組めることがたくさんあると改めて認識できました。
特に印象に残ったことをシェアします。
1. 「15%の壁」と「35%のしきい値(境界値)」
長野県は働く女性が多い一方で、意思決定の場に女性が少ない(全国46位)のが現状です。
講演で再認識させられたのが、組織における女性比率のデータです。
女性比率が15%未満の組織では、女性は「一人の人間」としてではなく、「女性代表(トークン)」という記号として扱われてしまいます。「女性としての意見を伝えないと」あるいは「女性だからと思われないように」というプレッシャーが、彼女たちを過度に慎重にさせてしまいます。
これが35%を超えると、ようやく性別ではなく「個」として扱われるようになります。
2. 「生活時間」のギャップが「経営」のギャップを生む
男性と女性の家事育児時間はどの程度の差があると思いますか?
下記は佐久の企業9社の調査結果です。
経営層・男性: 家事・育児時間が「1時間未満」が過半数。
女性社員: 「3時間〜7時間以上」の負担が当たり前。
この圧倒的な生活時間の差が、職場の「柔軟な働き方」が進まない背景です。家事育児を担っていない層がルールを決めると、どうしても「長時間労働ができる人」が基準になってしまい、使いやすい制度や仕組みになりません。
「ライフスタイルのギャップが経営のギャップを生む」という小安さんの言葉を、リーダーは認識しておくべき必要があると感じました。
3. 「意識」の変化を待たず、「仕組み」を今日変える
「人の意識を変えるには時間がかかるが、仕組みは今日変えられる」
これこそが、私たちが今すぐ取り組むべきアクションです。
例に上がったのは自治会。「世帯主しか役員になれない」という規約があり、それが自治会役員=男性という意識を持たせてしまってきた。それを一行書き換えるだけでも変化が生まれる。
・女性が1人で担うことに抵抗があるなら、副会長を2人体制にする
・家事育児世帯が参加できるよう会議をオンライン化する
・「出しゃばり」などの陰口はNGであることの共通認識を持つ
これらは精神論ではなく、今すぐに実行可能な「仕組み」の変更です。
4. 年代による意識の変化をデータで認識しておく
男性がパートナーに「専業主婦を希望する人」の割合は、この40年で40%弱から6.8%へと大幅に変化しました。前提として描いている社会像がことなることを理解しておくと、「ジェンダーギャップ」に対する意識醸成に繋がります。
5.「家事をなくす」ためのコミュニケーション
豊岡市のラク家事・育児コミュニケーションシートは、家事をなくす、をコンセプトに設計されたそう。
楽してよい、なくしてもよい、外に頼ってもよい、そんな整理のきっかけを作るシートというのは興味深かったです。
佐久市が「若者や女性に選ばれる街」であり続けるために。
古い規範という「ラスボス」を、精神論ではなく、賢い「仕組みづくり」で攻略していけるよう、地域の皆様の声も聞きながら、各種取組みを後押ししていければと思います。